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株式会社 日立国際電気

日立国際電気、マレーシア空港で滑走路面異物検知システムの実証試験運用を開始

   株式会社日立国際電気(代表取締役 社長執行役員 佐久間 嘉一郎/以下、日立国際電気)は、4月29日にMALAYSIA AIRPORT(SEPANG)(マレーシア空港セパン)とUNIVERSITI TEKNOLOGI MALAYSIA(マレーシア工科大学)と共同で、滑走路面異物検知リニアセルレーダーの実証試験システムの運用を開始いたしました。同日、日立国際電気はシステムの起工に際して、現地マレーシア・クアラルンプール空港にて、両国の政府関係者をお招きして起工式を執り行いました。

クアラルンプール/Sama-Sama Hotelでの起工式の様子

クアラルンプール/Sama-Sama Hotelでの起工式の様子

   本実証試験システムは、総務省の「リニアセルレーダーシステム(滑走路面異物検知システム)の海外展開を通じた周波数の国際協調利用促進に関する調査の請負」を当社が受託した取り組みの一環として、マレーシア空港ホールディングとクアラルンプール空港、マレーシア工科大学との技術協力により実現したものです。今後は、今回の実証試験運用の成果をITU-R、ICAOなどの国際標準化機関に展開していきます。さらにリニアセルレーダー技術のさらなる革新のために、日本とマレーシア両国の産官学連携の体制を構築し、人材教育を含めた交流も活発化させていきます。

第2滑走路レーダーカメラ基地局前にて

第2滑走路レーダーカメラ基地局前にて

【本実証実験の概略】
  本実証実験は、以下のような相互協力体制で推進しています。

■日立国際電気

  • 実証実験システムをマレーシア側の組織と協力して構築します。
  • マレーシアに構築した実証実験システムと成田空港に構築済みの実証実験設備を利活用し、ASEANをはじめとする世界各国の空港運用機関への広報活動と実用化を推進します。
  • ITU-R※1など関連する国際標準化会議での活動を行い、必要となる周波数共用の検討を推進します。
※1
 ITU-R: ITU Radiocommunication Sector(国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union)の無線通信部門

■マレーシア空港セパン

  • システムの設置のためのフィールドを提供し、システム導入に向けた各種許認可申請を推進しています。
  • 実用システムとしての性能評価に協力し、将来の導入可能性・経済効果について検討しています。
  • ICAO※2など関連する国際標準化会議での活動を行い、必要となる運用条件の検討を推進します。
※2
 ICAO:International Civil Aviation Organization(国際民間航空機関)

■マレーシア工科大学

  • マレーシア側の代表として本プロジェクトのプロジェクトマーネジメントを実施しています。
  • マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)、民間航空局(CAAM)など関係当局から実証実験に必要な許認可を取得しています。
  • システムの修理と保守を確実にするため、マレーシア空港セパンと共に研修生を日立国際電気に派遣して実務経験を積ませます。
  • システムのインストールと実装を日立国際電気と協力して推進してきました。

【背景】
  現在、世界的な航空旅客や貨物需要の成長に伴い、航空機の需要も大きく伸びることが予想されております。一方で「安全・安心」を維持するため、航空機が空港離着陸時に滑走路面に落下させた小さな金属片などの異物を検知するシステムの有用性が叫ばれており、光学の監視カメラに加えて測距性能や距離分解能、夜間の検出性能などの面で光学カメラより優れたレーダー方式の検知システムである「リニアセルレーダーシステム」への期待が高まってきております。
  今般、国内外の「リニアセルレーダーシステム」の実用化に向け、マレーシアでの実証試験システムの構築を開始するものです。

【リニアセルレーダーシステムの概要】
  本システムは、滑走路閉鎖の原因となる異物を検知するシステムです。RoF(Radio over Fiber)技術を活用した90GHz帯ミリ波レーダーを滑走路に配置し、滑走路全体を電波で走査し、滑走路上の異物発生を検知し正確な位置情報を通報します。
  本システムは、レーダーで検知された異物の位置情報により、即座に超高感度カメラで画像を撮影し、管制塔に伝送します。本システムでは、500m離れた滑走路上にある3cm程度の金属片を検知してから画像を伝送するまでを10秒程度で実現いたします。

リニアセルレーダーシステムの図

【今後の展開】
  今後は、将来の航空需要が大きく、空港整備計画も多いASEAN地域におけるモデルケースとしてクアラルンプール空港の実証実験設備を活用することで海外展開を加速していきます。これと並行して、熱帯地方に特有な豪雨時の性能評価や、運用方法についてマレーシア空港セパンと共に確立していきます。

※本発表の「リニアセルレーダーシステム」の一部は、「総務省電波資源拡大のための研究開発」の下で実施した「90GHz帯リニアセルによる高精度イメージング技術の研究開発」(平成24年度~平成27年度)及び「90GHz帯協調制御型リニアセルレーダーシステムの研究開発」(平成29年度~平成31年度)の成果によるものです。

お問い合わせ先

<技術に関して>

株式会社日立国際電気
モノづくり統括本部 ソリューション本部 エンタープライズソリューション部 加島・柴垣
〒187-8511 東京都小平市御幸町32番地
Tel:042-322-3111(代表)

<報道担当>

株式会社日立国際電気
経営管理本部 法務部 佐々木
〒105-8039 東京都港区西新橋2-15-12(日立愛宕別館6F)
Tel:03-6734-9401

以上

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